こんばんは。
オンラインカウンセリング 清水こころ相談室
公認心理師の清水です。
・スクールカウンセラーを巡る議論
ここ数日、Xの心理アカウントの皆さんの間で、スクールカウンセラーに関する話題が挙がっています。発端となったある開業カウンセラーの当該ポストはすでに削除されておりますので引用や言及はここではしませんが、代わりに自分の学生時代のスクールカウンセラーさん(以下SC)との思い出を書きたいと思います。
・室長と文化祭
高校一年生の時、自分は学級委員でした。地域や学校によっていろんな言い方があると思いますが、自分の高校では“室長”という名称で、私はクラスメイトから苗字や名前ではなく常に「室長」と呼ばれていました。
秋に文化祭があって、うちのクラスでは何をやるかを話し合った結果、お化け屋敷に決まりました。お化け屋敷の何が大変かって、前準備と制作です。お化け屋敷の仕掛けやコースのアイデアを出してそれを作っていくのですが、学祭の準備期間だけではとても完成できる量ではありませんでした。
なので仕掛けごとに制作チームを振り分けて、夏休み中に登校して作ろうということになりました。制作チームは張り紙をして作りたいところに名前を書いてもらって決めました。あまり人数が集まらなかったところは、室長副室長庶務などがカバーしたと思います。夏休み、部活や塾や、いろいろやることはあると思うけど、最低でも一回は手伝いに来てね、となっていました。
・積極的に手伝う子・一度も制作に参加しなかった子
思い出すと懐かしいですね。材料の段ボールをもらいに学校の近くのスーパーや薬局を回ったり、材料の買い出しに行ったり。室長なのでほとんどどの制作にも携わっていましたし、進捗状況も把握していました。それまであまり接点はなかったけど、文化祭の準備の関わりで話すようになったクラスメイトもいました。
逆に、一度も手伝いに来なかったクラスメイトも何人かいました。女子は全員参加してくれていたのですが、男子で数名、野球部とサッカー部のクラスメイトは全く来ませんでした。自分は文化祭のお化け屋敷をなんとしても成功させたい、すごいものを作り上げたいという思いが強く、夏休みの制作に参加しなかったクラスメイトのことを良く思っていませんでした。
・スクールカウンセラーに相談。目から鱗。
どうしたら手伝ってもらえるんだろう?という悩みと
自分はクラスのためにこんなに頑張っているんだから間違っていない!という気持ちを
担任の先生に伝えに行ったら、
「スクールカウンセラーさんに話を聞いてもらったらどうかな?」
と薦められて、相談室に行きました。
初めてカウンセラーという立場の人と話をしました。
愚痴のように文化祭のあれこれや、室長という立場で周りから室長室長と呼ばれていろいろやらされるのも辛い、というような内容を喋りました。
「今のクラスのみんなでつくる文化祭は今年の文化祭だけ。今しかできないことなのに、
どうして野球部やサッカー部の奴らは手伝いに来ないんだろう?」
と私が言うと、スクールカウンセラーさんから次のように返ってきました。
【野球部とサッカー部の子達がやってる部活も、今しかできないことなんじゃないのかな】
その時の衝撃はいまだに忘れられません。
「あ、そっか。その子達も今しかできないことを頑張ってるんだ。」
という感じで、まさしく目から鱗でした。
人それぞれ大事なものがあるんだ。自分のやっていることだけが正解じゃないんだ。
そういう気づきを得ることができました。
これは今でも大切にしている考え方です。
・一生懸命な人、真面目な人、損な役回りになっている人に寄り添いたい
その後、スクールカウンセラーさんのところには数回雑談のようなことをしに行きましたが、自然と足が向かなくなりました。もう顔も名前も覚えていませんが、それでもあの時くれた言葉はずっと胸に残っています。
でも、じゃあ夏休み手伝いに来なかったクラスメイトを許すことができたかといえば、微妙なところです笑
なぜなら、彼らは学園祭直前の準備期間でさえもロクに手伝わなかったのに、文化祭の当日は人一倍エンジョイしてたんですよね。よくある話ですね。お客さんを驚かすお化け役も、決まっていたのに「俺もやりたい」と言って勝手にやり始めるし、好き放題でした。
お化け屋敷は大成功で、評判も良かったですし、達成感もありました。
でもそれはコツコツ準備をしてきた人たちがいるからこそできたことなんですよね。
自分のことを言っているわけではなく、仕掛けなどを作ってくれたクラスメイトたちです。
全部できあがってから、おいしいところだけかっさらっていったような人たちに対して、やっぱりモヤっという気持ちは拭いきれませんでした。
一度しかない人生、後悔のないように好きに生きる
その通りだと思うのですが、それは周りの人たちのサポートが必要ですし、後悔のないよう好き勝手やった人の後始末や尻拭いをさせられている人だっていると思うんです。
真面目で一生懸命な人が損をしたり追いやられたり、追い詰められて病んでしまうような世の中であって欲しくないなと思います。
そのような方たちの支えになったり、ふっと楽になれる言葉や考え方を伝えられるようなカウンセラー、というのも、私の目指すところの一つです。